全日本合唱連盟季刊誌2020年度「ハーモニー夏号
佐渡裕の出会い・・・。
それは彼がまだ京都芸大のフルート専攻の学生でした。私が関西二期会の副指揮者として研鑽を始めるほんの少し前に、彼も副指揮者に・・・。
同じ釜の飯を食い苦楽を共にした仲でした。共に自宅が京都だったものですから、お互いの車に乗り込んで、話に興じたものでした。
彼は一躍大スターに登りつめました。その原点を私は知っています。オペラ蝶々さんの本番の時です。私たち二人の副指揮者の仕事は客席奥の調光室に入って、彼は上手側の窓、私は下手側の窓から、合唱団のために赤ペンライトで指揮者のテンポを指示する仕事が与えれました。2時間の本番中、その役目は合計しても15分程度。話し声が客席に届かないことをいいことに、我々二人は喋りまくっていました。その時の彼の一言。「俺、絶対にベルリンフィルを振る」と真顔で言ったのです。
この決意というか、自己暗示というか・・・。それが現在の彼につながっているのです。
でもお互い若いころの出来事は何年たっても心にあることをこの記事を読んで知りました。うれしいことです。(全日本合唱連盟季刊誌2020年度「ハーモニー夏号」)